「うっ…竣…っ。」

「やっぱ強がってんじゃん。」

「昔…母と、約束したことがあるの…。”あなたは強い子”って…。」

「…お前、母さんと父さん…大好きなんだな。」


大好きよ。昔から…今も、変わらずに…―。


「泣け泣け。」

「何よ…竣。」

「泣いた分だけ人間てのは成長すんだよ。」


泣いた分だけ……――。
確かに、そうかもしれないわ…。


その日は、竣の腕の中で眠りについた。


「詩乃は1人で抱え込みすぎなんだよ。」

「え…??」

「弱虫で泣き虫で甘えん坊のくせに…。」

「なっ…!!」


そこまで…じゃないと思うけれど…。


「とにかく、甘えとけ。」

「は、はいっ…。」


その間中、私の心臓は異様なほどの音を立てていた。
私の心は苦しくて何かに締め付けられているようだった。


-ドキンッ ドキンッ

と、まるで、新しい、気持ちを覚えたかのように……―――。