確かに竣の言うとおりだ。

私は誰1人頼ろうとしないで、1人で抱え込んでた。
親友の結衣にさえ、言わなかった……――。


「1人で抱え込むな、バカ詩乃。」

「……。」

「お前は、1人じゃねぇって事、忘れんな。」

「竣…。」

「お前には少なくとも、俺に……――えっと…里中…だっけ? もいんだ。」

「ぇえ…。」

「もう1人で抱え込むな…。」

「ぇえ…。」


結衣はニコッと笑って、静かに部屋を出て行った。

涙腺が緩んできちゃったわ…。


「泣けよ。」


耳元で不意に囁かれた言葉。


「え…?」

「泣けよ、我慢しなくたっていいじゃねぇか…。」

「私…泣かない。」


私は強い子だから…。


「なんでそんなに強がんだよ…。」


頭の上から呆れた竣の声が降ってくる。


「強がってなんか無いわよ!!」


強がってなんか…。


「…!」


ふと、思い出した記憶。


【ゴメンね、詩乃。これから母様も父様もお仕事なの。】

【お留守番、頼んだぞ。】

【詩乃は強い子だからできるわよね?】

【うん! できるよ! 詩乃は強い子だもんっ!】


あれは、確か4歳の頃。まだ、お母様とお父様…皆で仲の良かった頃……――。