-翌日…


「おはよう、詩乃。よく眠れたかい?」

「おはようございます、お父様。」


朝食事をしに降りて行くと、珍しくお父様とお母様が一緒に食卓を囲んでいた。


「おはよう、詩乃。あなたも気品溢れるようになって!」

「おはようございます、お母様。」


なんだか…温かい。

竣とは、また違った温かさ。


「そうそう、お父様、お母様。話があるの。」

「話? それはここでも大丈夫な話なのか?」

「ええ。」

「何の話かしら?」

「…私、お父様の後を継ごうと思うの。」


カランッとナイフやフォークを落とすお父様とお母様。


「詩乃…。今なんと…?」

「お母様、私、お父様の後を…会社を継ぐわ。」

「本気か…?」

「本気よ、お父様。だから…会社や仕事について教えて頂きたいの。」

「詩乃…、お前…!」

「詩乃っ…。」


とお母様に抱き締められた。


「お母様…。」

「詩乃…よく言ってくれたわ…。
さすが…私たちの娘ね…。」

「お父様、よろしいかしら…?」

「あぁ。喜んで…。」




こうして私はお父様に仕事について教えてもらうことになった。


でも、これも私の作戦のうち。


私がお父様の会社を継ぐ勉強をすれば、
上原グループと手を切り、板垣グループとも、どうにかなるだろう、と考えたからだ。


何より、私が社長になってしまえば、それこそ私がどうにかできるかもしれない、
という欠点丸見えな作戦だ。