「詩乃、こちらへ来なさい。」

「…はい、お父様。」


父に手招きされ、座っていたソファから立ち上がり、
父の側へと行く。


「さて、本題に入ろう。」


…本題?
今日はお兄ちゃん関係のパーティーなのでは…?


「君と…詩乃には、別れてもらいたい。」

「お父様…!? 何を…!!!

詩乃は今幸せです! なぜです!?」


父の肩を掴み、必死に訴える。


「詩乃、お父様の肩を離しなさい。」

「っ…。」


しぶしぶ手を離す。


「噂が入ったのだよ。」

「噂…?」


一体なんの噂だろう…?


「君が詩乃に近づいたのは…板垣グループに
我が北条グループを取り込むためだという噂をね…。」

「「!!!」」

「それを知った以上、私たちの大切な娘に近づかせるわけにはいかないわ。」

「お母様…何を! そんなはずはないでしょう!?」

「なぜそのような事が言いきれるのです?

証拠はどこにも無いでしょう。」

「でも…!」


竣はそんな事をする人じゃ無い…!