-北条家


「「「「「「おかえりなさいませ、お嬢様。」」」」」」

「ただいま。」


いつもと違うメイド達に戸惑う私。


「「「「「「いらっしゃいませ、お坊ちゃま。」」」」」」

「はぁ…。」


かしこまる竣。



一体何が…?


お兄ちゃんの誕生日パーティーは元々やらないし、
私の誕生日はもうとっくに過ぎている。


長い廊下を歩き、ある一室に入る。


「おかえりなさい、詩乃。」

「早かったな。」


微笑む2人。


「…ただいま戻りました、お父様、お母様…。」


「君が竣クンかね? 噂はいろいろと伺っているよ。」

「さぁさ、お掛けになって?」


気品溢れる2人。

いつもとなんら変わりはない。


が、雰囲気は、いつもと違っていた。


「竣クン…だったね?」

「はい。」

「あの板垣グループのご子息だと伺っているよ。

詩乃とは、仲良くしてくれて、ありがとう。」

「こんなふつつかな娘で…うふふっ。」

「いえ、とんでも無いですよ。」


ハハッ、と慣れた雰囲気の竣。


竣もお坊ちゃま生活をしているからだろう。

板垣グループは、北条グループよりも1つランクの低い会社だ。