「ねぇ、詩乃チャン。」


藍はベッドに腰掛けながら言った。





「竣とさ、別れてよ。」







竣と…別れる?


「何言ってるの…? 藍クン…。」

「俺、本気だよ?」


どうして…。


「どうして私と竣が別れなくちゃならないの?」

「…萌亜。」


萌亜…。


あぁ…萌亜は、竣が好きなんだったわね…。


「ねぇ、竣と別れてよ。 でさ、俺と付き合おう?」

「嫌よ…。」

「そうすれば、萌亜も俺も幸せになるんだよ?」

「でも…私と竣は? 私と竣は…幸せになれないじゃない…。」

「そんなの知らないよ…。

俺らと付き合って幸せになれば良い…。」



嫌っ…!


「私、帰るわ!」

「…帰っても無駄だよ?」

「え…?」

「詩乃チャンの部屋には…今、萌亜がいるから。」

「なんで…。」



なんで


どうして


その言葉しか浮かばなかった……――。