「何? 柚木女って。 私には、萌亜って名前があるの!」

「あっ…あぁ…。」


いきなりの事に驚く俺。


「柚木女なんて呼ばないで!」

「…は?」

「…呼ばないで…。」


今度は泣きだす柚木おん……――柚木。

めんどくせぇ。

これだから女は嫌いだ。


「泣くな。」


と言って柚木の頭ポンポンと撫でる。


「じゃあ…。」

「なんだよ?」

「萌亜って…呼んでくれる?」

「…。」


はぁ…。 マジ? 柚木じゃだめなわけ?


「ねぇ!」


マジうざい…。

詩乃はめそめそしねぇし、こんな風に言ったりしねぇ。


「…無理。」

「なんで!? あゆかの事も、朱音の事も、呼びすでじゃん!」

「朱音はまた別。 あゆかは…名字が長い…。」

「…萌亜って…呼んでよ。」

「……萌亜。」

「うんっ! じゃ、ご飯食べよっかっ♪」


コロコロ変わる萌亜。

マジでめんどい。

でも…なんだ、これ。 たまにはいいかもなんて…何考えてんだ?


俺……――。