私は心の中に、何か、とてつもなく温かいものが流れ込んでくるのを感じた。


「お兄…ちゃん…。」


今まで、男の子に酷い事してきたのも

全部…私を…守るため……――。


「お兄ちゃんっ…。」

「ゴメン、詩乃…。」


お兄ちゃんは、くるりと向きを変え、屋上庭園から出て行こうとした。


「お兄ちゃん…。」


私は、そっと、後ろからお兄ちゃんに抱き付いた。


「お兄ちゃん…。ありがとう……――。」





ありがとう