「えと…詩乃のお兄さんは…。」

「龍也でいい。」

「じゃ、龍也サンは、詩乃の事、嫌いなんですか。」


龍也の行動は、詩乃から見れば自分の幸せを壊すための行動にしか見えないらしい。


「…嫌いなわけねぇだろ?
アイツは、たった1人…、俺を認めてくれる家族だ…。」

「は…?」

「…俺がグレ始めたのは、13歳くらいだな…。
ちゃんと高校まで行ったけどな。

詩乃はまだ5歳くらいだった…。


俺はな、詩乃を守ってやりたかったんだ。
結局、変な方向に行っちまったけどな。

俺がグレ始めたせいで、いろいろ警察沙汰になったりしてな。


ある日、少年院に送られそうになった。」


何したんだよ、13歳…。


「で、親が駆けつけて。

詩乃は1人で留守番。その日はちょうど台風で…雷もすごかった。」


ん?


5歳

1人で留守番

台風




それって…詩乃が雷がダメになった原因の日じゃ…。


「何があったかは知らねぇけど…その後、俺は家に帰れた。
帰ったのは、翌日の朝8:00。」


…かもしれねぇ。


「家に帰ると、大泣きする詩乃に、詩乃に冷たくなったメイドや親。

何がなんだか分かんなかった。


とにかく、俺は詩乃の味方でいるしかなかった。」


…だな…。


「それ以降、俺は詩乃を本気で守ろうと思った。」