「その代わり。」


ずしっと体重をかけながら言った。



「親から逃げんじゃねぇ。」

「…竣…。」

「分かったな。」

「ええ…。」


私は自分の制服の胸の辺りをキュッと掴んだ。

心が、温かくなった。


竣は、いつも私の心を温かくしてくれる…。



私もいつか、竣の心をこんな風に温かくしたいわ…―――。