-ミーンミンミーン…


蝉の鳴き声の響く街。


「それじゃ、皆楽しい夏休みをッ!」


陰山先生の一言で、皆が解散する。


「じゃぁねっ、詩乃! 連絡待ってるッ☆」

「ええっ、元気でね、朱音!」


「私はだいたい家にいるからね、詩乃!」

「分かったわ、あゆか!」

「一緒にWデートしようね~ッ!!

あ、Fデート???」


あゆかと朱音は教室を出て行った。

最近、あゆかは南と付き合い始めた。


…皆が意外な事に。




あゆかと朱音の出て行った教室には、私と結衣しか残っていなかった。


「詩乃は板垣クン待つんだっけ?」

「ええ。」

「そっか。じゃぁ、私そろそろ帰るッ。」

「ええ。気を付けてね。」

「うん☆ じゃーねっ♪」


結衣が出て行くと、私は1人、溜息をついた。


この学校は、夏休みにあると、強制的に家に帰される。

私が家に帰るという事。


それは、お父様とお母様に会うという事。