そんな朱音を見て、私は涙がこみ上げてきた。


「あぁ、泣いちゃダメッ。

泣くなら、空見なッ!」

「空?」

「そっ。


泣くときは、空を見て。

笑うときは、前を見て。

怒るときは、下を見て。

喜ぶときは、人を見て。」

「何? それ…。聞いたことが無いわ。」


首をかしげると、朱音は得意げに言った。


「そりゃそうでしょッ。だって自作だも~ん♪」


朱音らしいわね。
















「じゃぁ、朱音。また明日。」

「うんっ! また、明日。」


私は、自分の部屋へと向かって、歩き出した。




「詩乃、ありがと。」



そんな、朱音の小さな感謝の呟きを背にして……―――。