「女子って、人の感情に結構敏感じゃない?

それは男子もほぼ一緒なんだけど、中2の頃って、女子の方がませてるじゃない?


だから、女子は気遣ってくれるけど…男子は…ほら…こう、ずけずけ言うでしょ?

…初めて、女子の優しさに触れたいと思ったなぁ。


でもね、私、徐々にその優しさを女子じゃなくて、男子に求めるようになったの。

フフッ、無理な話だよね?


そう、私のこの想いを、誰かに受け止めてもらいたいと思った。

私が言うんじゃなくて、自分から気付いて! な~んて、バカな事を考えるようになった。


それは、今でも同じなの。



あの日…。

雅樹に、本当は気付いてほしかった…な。



言っちゃうと、本当の私は、
弱虫で、泣き虫で、寂しがり屋で、人との付き合いを恐れた、小さな小さな、地味な女の子だと思う。


でもね、この鎧をしている時の私はね、
強がりで、言葉使い荒くて、男子っぽい、活発な女の子。
…そう、元気に振舞ってられるの。



…私、運命の人に出逢いたい、そう、思ってる。

私の思う運命の人ってね、もう好きで好きでしょうがない! って人じゃなくてね…。


私のこの鎧を…脱がせてくれる人。」


一気に話し終えた朱音は、フゥッと溜息を吐いて、紅茶をゴクゴクと飲んだ。


「…朱音。」

「…何?」


朱音は真っ直ぐ私を見て、微笑みながら言った。


「私…朱音が男の子っぽくしている理由なんて、無いと思っていたわ…。

でも、この話しを聞いて…考えが、変わったわ…。


ゴメンナサイ、朱音…。」

「なぁ~に謝ってんの、詩乃ったらっ。」


そう、笑ってくれた。