「あんま、これ話したくないんだけど…ね。」

「え…?」

「…フフッ、聞きたい?」


そう微笑む朱音の顔はなんだか、辛そうだった。


「…聞きたいわ。」

「じゃ、聞かしてあげる。


…私、いじめられっ子だったの。」


始る、朱音の物語。
それは、私の知る朱音ではちょっと想像できなくて、意外なものだった。


「…小さいころから、いじめる事は無かったんだけど…いじめられる事ばっかだったんだ、私。


んー…、最後にいじめられたのは中2…だったかなぁ。

普通にいじめだったよ。
悪口とか…そんな程度だけど。

でも、部活中には無視されるし、一緒にいられる人なんていなくて。

もちろん、私にも悪いところはあったんだけどね。



唯一側にいてくれたのが、あゆか。

ちなみに、あゆかとは小5からの仲でね。
喧嘩することもあったけど…仲良かったんだよ。



…いじめが終わってからかなぁ、私が変わったの。


元々、私の周りには男ばっかで、男っぽかったんだけど…更にバージョンアップしたの。



”女子”が嫌になって、人付き合いが嫌になった。


だから、よく男子と一緒にいたの。

私の口調は、どんどん男っぽくなってった。


その方が、男子もあんま女子って意識しなくてよかったみたいだし。
私もその方が、女子に対して、楽だったの。



でも、やっぱり男子と女子とじゃ違ってね。


次第に、寂しくなった。」


朱音は、寂しそうに言った。

私は、何も…言えなかった。