「何? どーいうこと…?」


隣の席の結衣が言う。


「…分からないわ…。」


「説明しろぉ!!」

「分かった分かった…落ち着け、矢川。」


コホンと咳をして、話し出した、先生。


「”体育祭で優勝したらテスト無し”と言うのは、体育祭を盛り上げるための…嘘だ。

目標があれば皆頑張るだろ? だから、学園長が提案なさったんだ。


【体育祭で優勝できるほどの集中力と努力する心があれば、テストくらい簡単よ♪】

とおっしゃっていた…。」


…学園長…すごい方ね…。


「とまぁ、そう言う事だ! きょっ、今日は解散でいいぞ~♪
これから各自テスト勉強をするようにッ☆ じゃぁなッ!!」


そう言うと、先生は逃げて行った…。


「あのクソじじい…。」

「竣…。」


竣は立ちあがり、鞄を持った。


「詩乃、帰るぞ。」

「えぇ!? 珍しい…。」

「…俺、勉強しねぇとヤベェ。」

「そう…。じゃぁ私、邪魔すると悪いから、結衣の部屋にいるわね?」

「…いや、いてくれ。」


その言葉にドキッとなる私の心臓。


「竣…?」

「……っ…。」


とても恥ずかしそうにしている竣。


「勉強、教えてくれ…。」

「え…?」