「♪~♪」

教室に向かう途中の廊下で鼻歌歌っていてふと我に返る。
すっかり受賞のことで頭がいっぱいになっていたけど、
浮かれている場合じゃないのだっ!!

今朝のアノことすっかり忘れてたぁ~!!

同じクラスだし、席も近いし。

それに、

「……ごめん」

とか言っちゃったわけだし100%気まずいよ。
どうしよ……。

絶対、傷ついただろうなぁ、いや怒っているかも。

でも逆手にとれば一層のこと嫌われた方がいいのか。
う~ん……しかしこんな形でこれから先、相手にされないと言うのも、幼なじみとしては良心が痛むと言うか……。

「よっ!!さっきは悪かったな」

うわっ!ご本人様登場――噂をすればなんとやらってね。

「……あ、いや……別に」

自然に振る舞わなきゃ!!いつも通り自然に自然に!!

「さっきそこで桜に聞いたんだけど入賞したんだって?」

「えっ……うん、まぁ」

だから自然にだってばぁ~!!

「おめでとう」

「ありがと……あの……さっきのアレね。詳しい事情は今は話せないんだけど、私はもう少し穂稀とは幼なじみで居たいの。ダメ……かな?」

「分かったよ」

私はあんたと付き合うことは桜を裏切ることになる。
それだけはできない。

ごめんね……穂稀。