「勘蔵様!」
「どうした?」
「なぜ何も言わずに帰られます?」
「私が何か口走れば斬られて終わりだろう。」
「それはありません。」
「なぜだ?」
「総鶴様は勘蔵様を慕っておられます。それに、今勘蔵様を斬れば家臣の反発は逃れられません。」
「島村、本気でそう思うか?」
「は?」
「四郎と護衛以外の家臣がいなかったのはなぜだ?」
「恐らく、それぞれの職務を。」
「違う。知っていれば一人や二人私を見にくる。恐らく、伝えられていないのだろう。」
「しかし、それとこれとはどのような関係が」
「家臣が知らぬ内に私を討てば反発もないだろう。総鶴は実権を手放すつもりはさらさらあるまい。」
「そうでありますか・・・。」
「島村、お前は・・・変わらないな。」

勘蔵は軽く微笑んだ。

「私は……‥」

勘蔵は途中で話すのをやめた。