口角が上がる。

肉食獣のような眼光が自分を獲物として捉えたかのように光る。

正面には真剣を両手で握っている。



目が覚めると耕助は自室にいた。
悪夢だった。
既に勘蔵としての自我は忘れてしまっている。
勘蔵としての記憶もない。

しかし、真剣を持った人間に見覚えはあった。

ただ漠然と、纏う雰囲気のみを覚えていた。


唾を飲んだ。


今度こそ、自分の死は近いのだろうか。