『私の来世を救う方法は有りませぬか・・・?……お答えください!』

堪蔵は仏像の前で瞑想をしながら問い掛けていた。
あれから幾度も同じ映像を見ている。
堪蔵には我慢できなかった。

堪蔵は瞑想を止め、写経をしながら空を見た。
真っ青な冬空だった。


「堪蔵さんっ。」
堪蔵は呼ばれるままに戸口を見た。

香が立っていた。

「お香さん・・・。」

堪蔵は目を丸くした。

「そんなに驚くことではございません。」
「いきなり来たら普通驚きますよ!」
「今日来ると文を送りましたが・・・。」
「え?」
「お読みにならなかったのですね。」
「・・・申し訳ない。」

頭を下げる堪蔵に香はほほえむ。

「堪蔵さん・・・。」
「はい?」
「三行半を渡されました。」
「な、なぜです?」
「半年が経っても子供が出来ないからです。」
「え・・・。」
「・・・今日はもう帰ります。・・・また来ますね。」

香は優しく微笑んで帰っていった。