「起立、礼。」

学級委員の須藤悠子が朝のホームルームの号令をかける。


「耕助ぇ、何で朝っぱらから汗だくなんだよ。」

友達の中野周吾が笑いながら言う。
俺は8×4をしながら
「うるせー、寝坊したんだよっ!」
と毒づく。

『ったく、Tシャツどころかワイシャツまでびしょ濡れじゃねぇか。』

そんなことを考えているうちに始業の時間が近づく。
気付けばクラスメイトは皆、教室にはいなかった。

「あれっ・・・?」

周りを見渡す耕助。
しかし、誰一人教室にはいない。

「体育かっ!」

耕助の声は一人の教室で寂しげに響いた。

『天気いいし、屋上で乾かすか・・・。』

一時間目をさぼると決心した耕助は廊下に出た。

廊下で何一つ物音がしないのは不気味だったが、不思議には思わなかった。