3時間程歩いただろうか。

堪蔵は流音寺に到着していた。

「やはり・・・小さいな。」

天皇の住む家より寺が小さいのは当たり前であるが、他の寺よりも少し小さかった。

「まぁ、寝る広ささえあればよいか。」

狭い縁側に腰を下ろした。

「ふぅ・・・。」

堪蔵は思い出していた。

一般の子供とは遊べなかった幼少時代。
学問ばかりを詰め込まれた。
天皇陛下―父の病。

『全部むこうの世界のことだな。』

なんだか笑えた。
不思議な感覚だった。

やがて日が暮れる。
堪蔵は寺の奥に入り、仏像の前で瞑想した。

何かが見えたことはないが、何かが見えるような気がした。


数時間後、瞑想を止め、蝋燭の火を消し、眠りに就いた。