かなこの木

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「可奈子ー!!またお父さんの書斎に入ったの!?」

「入ってないもん!」

「じゃあこれは何?」



お母さんの手に持たれた本にはデカデカと『かなこの木』って、油性ペンで書かれていた。



「何でお父さんの本に落書きなんかするの!!」

「だって……」




私は小さな頃から本が大好きだった。

まだ小さかった私は文章じゃなくて、合間合間にある挿絵が好きでお父さんの書斎にこっそり入って本を読んでたんだ。