かなこの木

少しワクワクしてたんだ。


こんなずっしり重い本、とまっている鍵の細工だって繊細で巧妙な感じ。


なのに、こんなに小さな、まるでロッカーの鍵みたいなチンケな鍵が、まさかこんな立派な本を開くアイテムだったなんて……。



童話の物語の始まりみたいに、素敵な何かが始まるタイミングはそれなりのアイテムなハズなのに…。



少しガッカリした。



「読まないのか?」

「…読む」





私は鍵を受け取ると銀爺さんに手を振って図書館を出た。