街を漆黒の闇が包み出した頃、ジーンズの中で携帯が鳴った。 着信は───── 案の定リカだった。 『遅いわね?』 「ん? あぁ、今から帰るところだよ」 言ってしまった後に後悔した。 嘘でも、少し遅くなるって言えば良かったものを。 隣はどうするんだよ、隣は。