「キョウちゃん、お仕事行かなくて大丈夫なのかい?」 今日だけでも何度聞かれただろう。 その問に俺が小さく頷くと、老婆は嬉しそうに微笑む。 「…‥じゃあ一緒に居れるね」 と。 彼女は─────、 《母》は幸せだった。 俺の手を離さず、俺の側を離れず。 それはまるで、俺の幼児期にそうしなかった償いを、自己満足で満たすように。