長い電話を切ると、俺は老婆が眠る嘗ての我が仕事部屋のドアを開けた。 が、布団の中にその姿は無く、部屋の隅で膝を抱えるように老婆は座っていた。 「? ───何やってんだ?」 顔を上げ、怯えるような目で俺を見る。 「どうしたんだよ?」 「あ、…‥あの」