『君が行かなきゃならんのかね』 元より、人情味なんて普段から期待していなかったけれど、自分の駒としてしか扱わない態度に、正直腹が立った。 あの声をまた聞くのかと思うと、眉間に皺が寄る。 しかし────。 老婆が潜む部屋と、時計を交互に見る。 まだ散乱した部屋を見渡し、 「休むか…‥」 ぽつり呟き、電話を手にした。