「───え?」 「やだ、上の空でした? 今日はお昼から、池之尾建設さんに行くんですね?」 彼女は、壁のホワイトボードを目にしながら言う。 この会社では、出張や外出等は、必ずこのボードに行く先を記入する。 ほぼ毎日と言って良いほど、俺の欄には出先が記載されていた。