リカは何も言わず出て行った。 こんな時間、しかも外は冷たい雨なのに。 俺が彼女を追い出した。 こんなはずじゃ無かったのに────。 仕事部屋のドアをそっと開けると、老婆は背を向けるように寝ていた。 さっきのリカとのやりとりが、聞こえていないはずは無いのに。 醜い人間がここにも居た。 .