それでも愛人は止まらない。


「待って、マー君」


愛人の手首をつかんだのは、玄関のところ。


「ねえ、どうしたの急に」


「・・・吐き気がする」


「吐き気?」


愛人が私の手を振りほどく。


また、あの目をしてる。


冷たい目。


「愛してる?気持ち悪い」


「気持ち悪いって・・・」


「産まれて来れてよかった?よくそんな言葉言えるな」


「どーゆー意味よ!私は本気でそう思ってるから言ったんじゃない」


「とにかく、俺は帰るから」


愛人は暗闇の中に消えていった。