「ママ~今日のケーキなに?」


「美結の好きな、フルーツたっぷりのケーキ」


「嬉しい。でも、ママのお菓子ならなんでも好きだよ」


「ありがと、美結」


顔中を笑顔にして、ママはケーキ作りを再開した。


ママがキッチンに立つと、その場がパーっと明るくなる。


ママがお菓子を作ってる姿はほんとに楽しそうで、こっちまで楽しくなる。


小さいころ、パパが私に教えてくれた。


ママは、魔法を使えるんだって。


そのとき、すごーいって興奮した覚えがある。


4歳だったときの話かな。


だって、ほんとにすごかったから。


ママの手から、まるで魔法みたいにどんどんお菓子が出来てきて。


美結もそのうち、魔法が使えるようになるわよ~って。


ママが冗談ぽく言ってたっけ。