秘密な花嫁~旦那様は同い年~

沙奈と一緒に部活に向かう。


「ラケット握るの久しぶり」


沙奈が楽しそうな声を上げた。


私と沙奈は、テニス部に入ってる。


ママも高校のとき、テニスやってたんだよ。


その影響で、私も始めたんだけどね。


「美結、春休みテニスやった?」


「えっ、ごめんなに?」


「なにボーっとしてんの?」


考え事してたら、沙奈の言葉を聞き逃した。


「沙奈、ごめん。部活、あとから行く」


「ちょっ美結。急にどうしたの?」


沙奈の言葉を無視して、私は来た道を戻り始めた。


教室のドアを思いっきり開ける。


もう教室には誰もいなかったけど、彼の鞄だけはひっそりと残っていた。