「美結、英語上手ね」


「だって、日本でもたくさん練習する時間あったし。もうこっちに来て1年だよ」


大学にいる間、こっちに来ても困らないように、英会話教室に通った。


それでもこっちに来てネイティブの発音に慣れるのに時間がかかったけど、今は言葉に関しては何不自由なく暮らしてる。


「もう1年も離れてるんだね」


「うん」


ママと手をつないで、洋服屋さんに入った。


小さなお店で、店員さんは一人しかいない。


「いらっしゃい、美結」


「こんにちは、アリス」


このお店を見つけてから何回も通ってるから、今ではここの店員のアリスとはすっかり顔馴染み。


「あら?お姉さん?」


「うんん。ママだよ。日本から来てくれたの」


「そうなの?若くてかわいいから、てっきりお姉さんだと思ったわ」


そう言ってアリスは、ママに向かってニッコリ笑った。