秘密な花嫁~旦那様は同い年~

神父さんが、誓いの言葉を述べていく。


「はい。誓います」


お互いの顔を見ただけで、自然と笑顔がこぼれる。


ここまで来るのに、いろいろあったね。


突然の婚約。


あの頃の愛人は、生きる希望を失っていた。


私を拒絶して、だけどたまに見せる優しさに、いつの間にか私は心を奪われていた。


「美結、綺麗だ」


愛人が私のベールを、ゆっくりと上げる。


「マー君」


病気のことを知ったときは、ものすごくショックだった。


うんん、それ以上に、愛人に生きる意志のないことの方が悲しかった。


愛人の家族のこと、病気のこと、乗り越えることは山ほどあって、心がぐちゃぐちゃになっちゃうときもあった。


それでも愛人の傍を離れなかったのは、愛人のことが好きだから。


愛してるから。