しかも女子大だから、右を見ても左を見ても、女の子だらけ。


教室に入って、教科書を取り出す。


今から書道の歴史を学ぶ授業。


「美結さ、やっぱり今日顔にやけっぱなしだよね」


何かあった?と有里ちゃんが聞いてくる。


「今日はいい日なの。あっ、ケータイ」


鞄の中から、バイブ音が聞こえて、急いでケータイを取り出す。


電話の相手を見た瞬間、顔の筋肉が一気に緩む。


「美結、顔がとろけてるよ」


「へへっ。今日は特別」


有里ちゃんの呆れ顔を見つつ、教室を出た。


深呼吸をして、通話ボタンを押す。


『もしもし、美結?』


「うん」


『俺。今、空港着いた』