「怖いです、私」


ギュッと握りしめた手に、コツンとおでこをぶつける。


「もしこのままマー君の目が覚めなかったらとか、それ以上の最悪なことになったらとか、そう思うと怖くてたまらないです」


「美結さん・・・」


おば様がジッと私を見つめる。


「死は突然だから」


数日前に亡くなった亜季ちゃんのことを思い出す。


あんなに笑っていた亜季ちゃんが、もうこの世にはいない。


「怖いです、おば様。怖くて怖くてたまらないの」


ぐっと唇を噛みしめる。


「それでも、私笑います。きっとマー君は、私の笑顔が好きだから」


愛人の前では泣かないって決めたから。


泣かないって、約束したから。


「でも・・・」


こらえ切れなくなった涙が、ポタポタと布団を濡らす。