アメリカに来て3日、愛人には何の変化も訪れなかった。


病室には、ピッピッと心電図の機械音が響くだけ。


「マー君、今日も来たよ」


それでも私は、笑顔で毎日愛人に声をかけ続ける。


少しでも目を覚ます刺激になればと思って、握った手を揉み続ける。


今は、そんなことしか出来ない。


「おば様、大丈夫?」


「ええ」


ずっと愛人についてるおば様には、相当疲れが溜まってるみたい。


「私がついてるから、アパートに戻って眠ったら?」


「大丈夫よ。ありがとう」


そう言っておば様は笑ったけど、どう見ても無理に笑ってるとしか思えない。


でもこれ以上、休んでなんて強くは言えない。


だって誰よりもきっと、おば様は愛人のことを心配してるから。


それが、おば様の身体から痛いほど伝わってくる。