「そうですよね」


慣れないアメリカの生活に、愛人がこんなことになっちゃって、疲れないはずがないよね。


病院は、とても綺麗なところだった。


木々が多く、都会のニューヨークだってことを忘れそうなくらい。


日本の病院と同じように、中に入れば大きな窓から太陽の光がサンサンと降り注ぐ。


「こちらです」


エレベーターで4階まで上がり、真っ直ぐ歩いて行くと、一柳さんがひとつのドアの前で止まった。


「大丈夫ですか?美結様」


「はい」


一柳さんが、静かにドアを開ける。


ドアが開くのと同時に、心臓の鼓動が一気に早くなる。


「どうぞ。こちらです」


一柳さんがスッと身体を引き、私を先に病室の中に入れてくれた。


「いらっしゃい、美結さん」


最初に目に入ったのは、私に弱々しく笑いかけるおば様の姿。