秘密な花嫁~旦那様は同い年~

「さっき美結が言ったように、大学の入学式までには戻ってくること。たとえ、愛人君の目が覚めなくても」


「・・・はい」


パパの言葉に、小さくうなずく。


「美結、笑って。パパもママも愛人君も、美結の笑った顔が大好きよ」


「うん、ママ」


亜季ちゃんの死、愛人のこと。


心は悲しいままだけど、でも今は少しでも笑おう。


笑ってたらきっと、何かいいことが起こる気がするから。


次の日、パパが用意してくれたチケットで飛行機に乗り込んだ。


空港までは、パパとママがついてきてくれたけど、ここから一人で愛人の病院があるニューヨークに向かう。


ニューヨークに着いたら、一柳さんが迎えに来てくれることになってる。


ニューヨークまで、約13時間の長旅。


飛行機の中で浅い眠りを繰り返し、アメリカの地に降り立った。


「美結様」


空港の中をウロウロとしていると、どこかから久しぶりに聞く声がしてきた。