反復するように、そっと一柳さんの名前を呼んだ。


『はい。美結様でございますね?』


「はい」


『愛人様の手術が終わったので、ご連絡を』


その言葉に、唾をゴクンと飲み込んだ。


『手術は、成功いたしました』


「ほんとですか?」


聞き返す声が、思わず上ずる。


『はい』


でも成功して嬉しいはずなのに、一柳さんの声はなんだか沈んでいて、その声色を聞いてると、なぜかまた不安になってきた。


『実は美結様、手術は成功したのですが・・・』


ドクンドクンと、心臓が嫌な音を立てる。


『手術中、思った以上に出血がひどく・・・』


「・・・えっ?」


一瞬、意識が遠くなるのを感じた。