「そうなんだ」


何気なく時計に目をやると、12時を少し過ぎたところだった。


「電話、来た?」


「うんん」


愛人の手術が始まって4時間が過ぎていた。


「大丈夫よ、美結。そんなに心配しなくても」


私と視線を同じようにしてしゃがみ込んだママが、そっと頭をなでてくれる。


「お腹空かない?お昼食べよっか」


「うん・・・」


片手に電話を持ち、もうひとつの手でママと手をつないで階段を下りる。


「さっき仕事でプリン作ってきたの。食べる?」


「うん。ママのプリン大好き」


「よかった」


ママがニッコリ笑う。


いつもみんなで食事をしてる部屋に入り、席に着く。