左の手首にはめていたピンク色のシュシュを取る。


「俺が」


私の手からシュシュを奪った愛人は、そっと私の髪を触り結び始めた。


「美結の髪、細くてサラサラしてる」


「そお?」


「やっぱり気持ちいい」


髪にシュシュが巻きつけられるのを感じる。


「痛くない?」


「うん」


「出来た」


その声に髪を触ると、少し高めのところでポニーテールにされていた。


「ありがとう、マー君」


「ん。行こう」


少し顔を赤くして、愛人はまた私の手を取り歩き出した。


真っ直ぐの道を、ゆっくりと歩き続ける。