「手術・・・」


「ん?」


「もし間に合うなら、手術受ける」


私を抱く腕に、ギュッと力が込められる。


「大丈夫だよ、マー君」


愛人の命の光が消える前に、きっと手術のチャンスは訪れる。


「美結」


「ん?」


「俺、生きたい。美結と、家族と」


静かな声だけど、その声は力強い。


それは初めて愛人が、生きたいって言った瞬間だった。


「大丈夫だよ、マー君。それにマー君、さっきおじ様に会社継ぐって宣言してたじゃん」


「ああ、あれは・・・」


愛人がハハッと小さく笑った。


「兄さんの夢って、宇宙関係の仕事に就くことなんだ」