「だって、マー君のお母さんだもん」


ゆっくりとゆっくりと、愛人が私の髪をなでる。


「ほんとは、ずっと愛されてたんだよな?」


「うん。みんな、忘れてただけなの。愛するってどんな感情か」


「うん」


「マー君は、ずっと愛されたし、人を愛すことの出来る人だよ」


「そうか?」


ギュって抱きしめられてるから、耳元で愛人の声が聞こえる。


「おば様が言ってた。愛人って名前は、人に愛され、人を愛す人になって欲しいからつけたって」


「初めて聞いた」


愛人の顔に、少しだけ笑みが広がる。


「好きよ、愛人。大好き」


「俺も好き、美結」


ふわっと唇が重なった。


「一緒に生きよう、愛人」