「兄さん、自由にしなよ」


「愛人!」


ガタっと音を立てて、おじ様が椅子から立ち上がる。


「俺が継ぐよ、会社」


今度は愛人がきっぱりと言った。


漂う沈黙。


「誠、愛人。この話はまた今度だ。いいな」


「はい」


「わかった」


難しい顔をして、おじ様はまた椅子に座った。


ハラハラと話を聞いていたおば様も、ホッと息を吐く。


「ごめん、美結。変なとこ見せて」


「うんん」


愛人が優しく笑ってくれて、私もホッと息を吐いた。


それからしばらくして誕生日会は終わり、愛人の家族は帰って行った。