「夢を、見させて欲しいんだ。夢を・・・」


誠さんの声は、徐々に小さくなっていく。


「ダメだ!夢なんて言ってる暇、お前にはないはずだろ?お前が継がなかったら、うちの会社はどうなるんだ」


「ごめん、父さん」


そう言ったあと、誠さんは何も言わなくなってしまった。


誠さん、やっとはっきり自分の意志を示したのに。


おじ様は、それを認めてくれないの?


「父さん、もういいだろ?」


沈黙の中、口を開いたのは愛人だった。


「もう兄さんを自由にしてあげなよ」


「何を言ってる、愛人」


おじ様がジロッと愛人を睨む。


「夢を追いかける権利は、誰にでもあるはずだよ」


「家は違う」


きっぱりとおじ様は言い放った。