「美結様、お支度は出来ていますので、ドアを」


「はい」


よく見ると、一柳さんは少し大きなワゴンを傍に置いていた。


「マー君!」


ガラッとドアを開けると、愛人がこっちを見る。


その目は大きく開かれ、すぐに私たちから視線をそらした。


「みんなでマー君の誕生日会・・・」


「悪いけど、帰ってもらって」


私が話し出したのと同じタイミングで、愛人の声が重なった。


「絶対帰ってもらわない!」


「美結」


少し強い口調で言うと、愛人がハッとしたように私の方を見た。


「今日はみんなで過ごすって決めたんだから。家族みんなで」


おば様とおじ様と誠さんの背中を押して、病室の中に入れる。


最後に一柳さんが入ったところで、病室のドアを閉めた。