どうしたらいいか戸惑ってるのが、おば様の表情から読み取れる。


「大丈夫です、おば様。だってこうやっておじ様を連れて来てくれたし」


チラッとおじ様に顔を向けると、軽く咳払いをしたおじ様が私から顔をそむけた。


おば様は、勇気を振り絞って今までのことをおじ様に告げたそう。


それから、病院で誕生日会をするから一緒に来て欲しいということも。


初めは仕事をしながら聞いていたおじ様も、おば様が気付いたときには資料に目を通すのをやめていたらしい。


お互いの視線が合ったときに慌てたようにまた資料に目を通し始めたおじ様は、小さな声で時間を作ると言ったそうだ。


たったそれだけだったけど、おば様はすごく嬉しかったって言ってた。


「誠さんも、入るでしょ?」


「ああ・・・」


愛人のお見舞いに来たのはずっと昔のことで、あまり覚えていないと言っていた誠さんは、なんだか照れ臭そうに頭をかいた。


「さあ皆様、愛人様がお待ちですよ?」


「そうだよ。家族なんだから、いつまでもこんなところに立ってたら変だよ?」


「そうよね」


私と一柳さんの言葉に、おば様は病室に入るのを決意したような顔になった。