あの後、愛人は眠ってしまって、私は静かに愛人の誕生日会が出来るように準備を進めた。


午後7時。


誕生日会が開かれる時間。


「美結、時間いいのか?」


「うん。今日は特別」


いつもは帰る時間だから、愛人が心配そうな顔をして私を見てくる。


でも今日は、これからが本番だから。


しばらくすると、トントンとドアが叩かれて、一柳さんが姿を現した。


「美結様、いらっしゃいました」


「はい。マー君、ちょっと待っててね」


不思議そうな顔をする愛人を残し、廊下に出る。


「おば様!あっ、おじ様も誠さんも」


廊下に出ると、愛人の家族が何とも言えない顔をして立っていた。


「どうぞ。入ってください。準備は出来てますよ」


「でも・・・」