秘密な花嫁~旦那様は同い年~

「長男だからね。当たり前かもしれない」


パソコンの画面と睨めっこしながら、誠さんは静かに話し出した。


「幼いときから勉強させられて、いい学校に入って。別にそれがイヤだなんて思ったことはない。なんせ、それが当たり前だと思ってたからね」


時折マウスを動かしながら、独り言のように話す誠さん。


「でも愛人は違った。病気だから、勉強を免除された。この家のことを免除された。でもふと思った。もし愛人が病気じゃなくて、俺と同じように勉強させられて、俺より優秀でこの家を継ぐのが愛人になったらって」


「そしたら?」


「僕は、自由だったかもって。僕は一瞬、現実から夢を見た」


フッと目を細めて、誠さんは笑った。


「宇宙に関る仕事がしたい。ほんとはずっとそう思ってた。でも僕の夢は叶わない。愛人が病気だから。愛人が、僕の夢を奪った」


「じゃあ誠さんは、愛人が元気で会社の後継者になっていたら、自分の夢は叶っていたと思うんですか?」


「ああ。そう思う」


ほんとに、そうなんだろうか?


ただ誠さんは、自分の夢が叶わなかったことを愛人のせいにしてるんじゃないの?


「誠さんは、ただ愛人のせいにしてるだけです」


「美結さん・・・」